毎日を旅するように暮らす筆談トラベラーのサイト

原点回帰

2016年、梅雨明けはいつもより遅かったね

台風もあまり来なくて、そうすると海が循環されずに海水温が高くなってしまう
1998年のサンゴ白化現象を思い出す
台風がくることによって海がカクハンされ循環していってサンゴも生きることを知ったそして、この年、初めてイリオモテ島へいった
思い出深い時期でもある
東洋のガラパゴスだ、アマゾンだ、とか優雅な代名詞で呼ばれたりするほどだが

現在、竹富町役場が石垣から西表に移設すると聞いた
そして島全体が国立公園指定になり、ゆくゆくは世界遺産にも登録されるかもしれない
けれど、その一方で西部の白浜では港の増設工事が始まってしまい貴重な干潟の埋立計画などが進められるそうで
沖縄本島 高江ヘリポートのことなども含めて…意識を向けて、阻止できることがあればそうしたい

さて
初めて、この島へいったとき、旅人から教えてもらった無人浜でキャンプをしていた
まだ20代OLの身分だったが、気分はトムソーヤだったそこで野外生活を堪能している時に地震にあい、津波警報が出てしまったのだが知るよしがなく
暗黒の通り雨に打たれていた

予定より1日早く水平線上に現れた黒い影が幻でなく迎えの船だったことに泡をふき
あわてて砂まみれのテントやらキャンプ道具やら、むき出しの釣りエサまでも黒ポリ袋に詰め込んで命からがら帰港した
その数ヶ月後、再び同じ島へ
今度は道のない南西部をカヤックで初めてまわった
島の親分にどこまでもついていって穫れた魚や貝を体に取り込んだ
水も電気もないフィールドでの原始的体験は自分の中で眠っていた何かを覚醒してしまった
あれから実体のない社会、世間に対して疑問をおおいに持った

大量消費、便利を追求していく家電や何も考えさせないテレビ、社会の価値観はそのまま支配したい誰かの代弁となった

 

大衆向け広告でさえ、痛いくらいに問いかけてきたのだった
それは息苦しいほど、がんじがらめで出社前に早起きして河原で深呼吸をした
『自由』とは短い休暇を、同僚の白い目を浴びるようにして、つかみとる時間だけのことをいうのだろうか
定年まで同じ職場のイスに座り続ける自分を想像してみたんだ
そうして気づいた時には退職届を出して沖縄でなく、北海道へ向かうフェリーに自転車と共に飛び乗ったのだった
甲板から眺めた、遠ざかるネオンの上にうっすら見えた一番星
何もかもが飛び上がるように嬉しかった
それは本当に昨日のことのように鮮やかに思い出す

あれから自分の夢見た風景に出会えたし、志を同じにする旅の仲間にもおかげさまでめぐりあえたように思う

ペンのインクで手を真っ黒にして語り合った筆談時間はかけがえのない魂と魂とのやりとりだったと思うし
たくさんバカ話もして、腸がねじれるほど笑った

そしてこれからもそんなことを
続けていきたいなと思ってる
 
PHOTO BY MH