白鯨2号のクランクを外した
すっかりサビついたBBを眺めていたら何か、こみあげてくるものを感じた
砂をあび、ウチの大量の汗を受け、重い荷物に揺られつつ耐えて、雨に打たれ、強い日射しを浴びた
川沿いの遍路道(高知) Photo by MH
初めて買った日のこと、覚えているよ
冬が終わる頃だった
心の片雲が絶え間なく南の方に流れていった
どうしようもなく日常から抜け出したかった
せまい硝子工場の小さなトイレの窓から飛行機が自由の待つ方向へ飛んでいくのをいつも見ていた
届かないのをわかっていながら、いつも短い手をのばしていった
思うだけでは旅に出られない
何らかのキッカケがほしかった
そんな想いを共にしていた仲間と何気なく向かった先は都会の喧騒に埋もれた雑居ビルの野外道具店
4Fの自転車コーナーでいきなり、バッタリと出くわしたのは「白鯨カラーのMTB」
全然、旅仕様の自転車じゃなかったのに、電撃的な旅への「誘い」を醸し出していて
しまいこんでいたハズのウチの心をすっかり鷲づかみにされてしまったのだった
勇気をもってサイフを広げ、手に入れたことでウチに「旅する時間」を与えてくれたんだ
地平線の彼方までグンとのびる道を空へと繋がる一筋の線を好きなだけ漕いでいくという喜びをもね
持ち主にウチを選んでくれた「白鯨2号」よ『Thanks!』
現在、旅の自転車はランドナー「ビーバー号」が引継いでくれている(この話はまたの機会にね)
白鯨2号の「2nd-Life」はシングルギアで日常を楽しませてくれる足として使い続けたい