毎日を旅するように暮らす筆談トラベラーのサイト

人は見た目が9割というけれど -カミングアウトする日常とは-

人は見た目でその人の属性を知らずにカテゴライズしている?

ウチは初めて出逢う人に、見た目とのギャップに、たいてい驚かれる
特に旅先では毎度のこと、そのたびにカミングアウトするような日々を過ごしている

もし海外に出たことがあるなら、あなたも経験があるかもしれない
中国人や香港人に間違われてしまったり、
オーダーと違うメニューがでてきてヤレヤレ、と苦笑してしまったり、とね

髪が黒く、黄色人種だからという見た目で無意識に決めつけられることがある
その時に『いいえ、実は日本人なんです』って告白するような体験はウチも新鮮だった
幼児の頃は近所で見かける白人とは『全てアメリカ人』だと思いこんでいた

それ以外の国の人の存在を知らなかったから…そりゃそうだよね


ひなびた温泉街で知った、おばあちゃんの視点

ある日、九州を自転車で旅していて、ひなびた温泉街で宿を探していた時のことだ

路上を歩いていた見るからに話し好きそうな地元のおばあちゃんに

「宿を探しているのですが…」(もちろん大きなサイズの日本語で)とノートに書いてみせたら

『おいで』と手招きしてくれ、そして行き着いた宿の玄関で

「この人たち、外国人なので日本語しゃべらないのよ」

と自信たっぷりに、女将さんに紹介したあと、満足そうに帰っていったのだった

オイオイ、うちらは日本人だってば、こうして日本語で書いているのに(笑)

きっと、このおばあちゃんは今までろう者に会ったことがなかったかもしれない

そして帰宅したら「この町に外国人がきてね、あの角の宿を紹介したのよ」と
井戸端会議で盛り上がっているかもしれないのだった

この体験は『日本語を話さない』というのは、ろう者だけでなく

外国人にも当てはまることなのだということを、改めて知ったのだった


 

ネパール・ムスタンの手作りコンビニ前で

昔、働いていた造園のおっちゃんが不思議な話をしてくれた

「イレブンセブンって知ってるか?夜11時からオープンするんだよ」

(えっ?セブンイレブンの逆じゃなくて?)おっちゃんは得意そうに続く
そこはなあ、ねえちゃんがお弁当を抱きかかえて温めてくれるよ

(・・まるでペンギンである)

だからイレブンセブンよ、当然そこの弁当はすごいウマイんだ」とも…

残念ながらお目にかかったことはないが、ともかく
コンビニでお弁当買ったなら、レンジであっためてくれるよね、その他には

「袋、お箸いりますか?」

「ポイントカードもってますか?」

といった質問が次にくると想定して、
ジェスチャーで即答できるように レジ係の顔をみてる(けっしてホレているわけでない)

しかし全く想定外の質問をされる時があるんだよね
その時には『耳が聞こえないので、書いて頂けますか?』とカミングアウト

ろう者と会った体験がある店員ならば、すぐにポケットのペンを取り出し
レシートの裏紙に書いたりして、対応してくれるし

初めて、ろう者を見る人は戸惑うかもしれないけど、そこで前例ができる
次にろう者と会った時には、きっとスムーズにいくだろう

いつか「私の胸で弁当あたためて良いですか」と書いてくれる日がくるかも(笑)


ロッカーキーの色を確認せよ。さもないと・・・

この写真はウチが青森から三陸海岸線を南下した時のもの

一人旅だと、知らない人から、よく声をかけられる

多かったのが「どこから来たの?どこまで行くの?」
そんな時、手持ちの地図を見せて、ルートを指でなぞれば
たいていの人は「おーすごい、頑張ってね、気をつけて」と満足して帰る

時に、さらに興味をもってくれた時は、そこでろう者であることを伝える
そうして筆談し、ご飯を分け与えてくれたり、と楽しい時間を過ごせた(これは別の機会に書くね)

さて夕方、今日の太陽でさらに黒くなった肌に汗だくの旅人が向かうのは[銭湯]だ

早く入りたい一心で脱衣所に入ると、フロントで渡されたカギに合うロッカーが
見つからなくて、ロッカー難民になってしまったことがあった

もちろんフロントに戻って、またもやカミングアウト、である
「私は女性なので、それ用のロッカーキーに交換してください」とね(笑)

でも正直に言おう、自転車一人旅で、どこかの公園、目立たないところに
野宿をするとき、少年に見られた方が何かと気楽で安心なのであった

ちなみにこの自転車旅の時、よく大学生に見られたけど、ウチは30歳であった
見た目とのギャップは、こちらが心を開けば、人は親切にして接してくれることを
教えてくれたのであった