大雪渓も通過すると
あとは林道歩きが待ってる
道が平坦になり広くなっていく
緑は体積を増して
むせかえるような空気を送ってくる
この辺りだ
目に見えない「下界への境域」
山からの精霊的な冷気が遮断されていく
[亜熱帯のような植物が生い茂る]
このライン越えが特に夏は恐怖だ
そしてヤツはきた…
この瞬間、自分のニオイが
まざまざと鼻を襲撃してきた!
一気に汗が吹き出し
体温と共に放出されていく
ロマンに欠けるかもしれないが
これが太古からの人間の正体だと思う
実は学生の頃、ワンゲル部とは名ばかりの
「山に登らないクラブ」に約1年所属したが
唯一の合宿が、この白馬岳テント山行だった
部員全員が箸が転げ落ちても笑う
17歳前後の女学生で構成されていたが
この「魔の境界線」で
みんな「アタシの体臭が…」に
かなりショックを受けたのだった
飛びきりの美人が何人かいて
その人ほどダメージは大きかったのだ(笑)
うら若き乙女のプライドを襲った
この皮肉な出来事は
「毎日風呂に入れるありがたみ」を
痛感したに違いなかった
そんなことを思いながら下山口の猿倉は
昔の面影そのまんまに残っていたのが嬉しかった
(その後もちろん温泉に直行したよw)
[ちなみに生ビール¥700になっていた]