とても久しぶりに紅葉がみたくなった
色づく森の中でゆっくりと眺めながら、バーナーで沸かしたコーヒーを飲むような時間を過ごしたい
あのひっそりとした冬の森へ
あそこなら、きっと…そう思いながらハンドルを握りしめた
すれ違う車すら見なかったはずの道
今、空前の山ブームの手はこの北八ヶ岳までも伸びてきたのだ
幸いにも日帰り客が多く回転が早い
拡張した駐車場や巨大観光バスに驚きつつ、森の中へワープする
雪に覆われた森の記憶は溶け、新しい世界が現れた
こんなにも美しいじゅうたんがどこまでも広がっていた
十数年ぶりの青苔荘へ
小屋の親父、清さんは健在だった
そしてうちらのことを覚えていた
数々の恥ずかしい記憶が浮かび上がる
確かあれは12月のクリスマス
雪が積もってないのに待ちきれなくて、買ったばかりのテレマーク板を履いてココにやってきたのだった
小屋の人以外、誰もいなくてリスが姿を見せるだけ
「バーカ!スキーには早過ぎるよ」
そう言いながらもテント泊するうちらを暖かく迎えてくれたのだった
顔もセリフも丸くなり、年を重ねた清さん
今回「バーカ」と言われなくてちょっと淋しいからまた冬に来ようかな
Photo by MH
フカフカの寝袋を出して紅葉の空を眺めていた
夕暮れの白駒池
最後の色彩を失いかけた
明日には新しい色に逢える