先日2014/10/14にアンナプルナ方面で雪崩が起きたという
御嶽山のこともあり、そこにいた当事者のこと、
そしてその家族、友人のことを思うと言葉が出ない
一人でも多くの無事を祈りたい、家族の元へ帰れることを願う
ウチが実際にネパールで歩いたところは、特別な人しか行けないところでなく、その気持ちがあれば、準備さえすれば、誰でもいけるところだと思っている
だから、こうして共有しているのだけど、どんな場所にいても、タイミングによって危険と隣り合わせであることを肝に銘ずる
でも、これからも山や海へといくのだろう
そのひとつの瞬間を大切にかみしめていきたい
今日は旅の途中で出逢った話を書こうと思う
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アンナプルナ サーキットの途中にはトロンパスという最高標高5416mの峠があり
その峠を越える人と動物のためのロッジが点在する
標高が高くなるにつれ、美しくも険しい渓谷が続く
先人から引き継がれてきた馬がやっと通れる道幅の他は
放牧されたヤクが斜面の途中で草を食んでいた
日本アルプスでいう槍ヶ岳や北岳の肩の小屋のような
峠の手前にある最後の大きなロッジがトロン•フェディ(Thorung Phedi)
4500m位のこの標高になると水道管が凍ってしまう
そんな中で暖かい食堂があり、フライドポテトから
モモ(餃子)、スープ、ヌードルなど下界と変わらない豊富なメニューが選べる
水は100mぐらい降りた渓谷の川から、一人の青年が
ポリタンクを背負えるように加工して何度も往復していた
スープのための水、お茶にする水、皿の洗い水、トイレの手洗い水など
黙々と往復しては、水を補給し、ストーブに火をつけ、ロッジ周りの整備をしていた
なんだか気になった、そのひたむきな目と目があった
そしてジェスチャーで
「ボクも同じだ、耳が聞こえない」
えっ?どういうこと? もう一度、問いかけた
でも、すぐに彼は去ってしまった
水の補給に忙しい時間だった
夜ご飯も食べ終わる頃
先ほどの彼がうちらのテーブルにやってきた
それで色々話したんだよね
でも彼は学校もあまり行かず、手話もほとんど知らなかった
だから手話というよりは、ホームサインのようなジェスチャー
彼はLataと名乗り、1年のほとんどをこの山小屋でバイトしている
正直、このハードな仕事に見合うような収入でなく
夏虫冬草という珍しい漢方薬のようなものが生えている穴場ポイントを知っていて
それを売ることで、こづかい稼ぎになっていると、テレくさそうに笑った
それで買ったというスントーの標高計付き時計を見せてくれた
うちらがこうして彼と会話していると、ロッジのオーナーを始めとして
周りが騒然として人が集まってきた
”あいつに仲間がいるぞ!”とね…
この夜は彼にとっても特別な時間だったようで
とびきりの笑顔で「きてくれてありがとう」と心の表現をしてくれた
ここの暮らしで楽しいことは何か、と野暮なことを聞いてしまった
『大好きなタバコを吸うことだよ』
そういうLataの瞳はアンナプルナのどの星よりも、輝いてみえたのだった