旅の日々を重ねていくと、時には思わぬ出来事に遭遇するもんだ
それも激しい体当たりで…
あれは良く晴れた朝のことだった
乾季だというのに、滝のシブキが路をアトラクションのようにふりまき
歓喜をあげて通り過ぎていく
うん、気分は上々だ
こんな風に馬の隊列だってすれ違うのを
飽きることなく、興奮しながら眺めていた
面白いものをみた
ポニーテールが2段階に結わえている個性たっぷりなバケツ(馬のお尻)だ
ウチはいつものようにシャッターを切った
その瞬間、ウチの体は宙に舞い、飛ばされていた
何が起こったのか、一瞬わからなかった
あれは音速といっていいスピードで馬の顔が目前に接近したかと思うと
なんと歯をむき出しにしてウチをぶっ飛ばしたのだった
数時間後、歯が激突した腕には見事に馬のキスマークが出来上がっていた
こんな巨大なの、今までにみたことがない
現地のネパール人にも「こんなの、初めてみた」と言われてしまった
ゲストにこんな事をさせてしまった衝撃で凍り付いたガイドのRinjiいわく
「カメラのシャッタ音に驚いたんだろう、近づかないように」
ウチにとってシャッター音って小さなものだと思っていたけれど結構、響くようだった
動物、特に馬はデリケートらしい
それ以来、山道に流しの馬タクシーの兄ちゃんとかにRinjiがネタにして言いふらす
少しずつ笑い話になってたから、まあいいか
でも、馬の足じゃなくて、本当によかった
下手したら、肋骨折れてたかもしれない
おかげで、馬とすれ違うときは緊張感をもって接するようになった
浮かれ気味だった自分を右腕の鈍い痛みが教えてくれる
今もまだ小さなコブとなって残ってる
とんでもなく深いお土産をもらってしまったのだった
別の馬だけど、顔はかわいいんだよね