地平線の果てまで、道はずっと続いていた
人の気配がなさそうな、あちこちの峠に
タルチョの旗が風と共にはためく
そんな荒野の岩の中にゴンパ(寺)はあった
突然きた旅人を受け入れてくれるだろうか
入口の石段をおそるおそる登ってゆくと
敵ではないことを察して、案内してくれたのだった
チベット国旗の折り畳まれたシワが新しい
いつも飾りっぱなしにしていない緊張がこちらまで伝わった
ヤクの乳で作られたバター灯のまわりは神聖なる祈りにあふれていた
そうして奥の部屋に招かれると、あのダライラマ肖像写真が笑顔でこちらをみていた
人が往来して出来あがった道は
国境を越えた先、チベットまで続いていく
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