荷物を運ぶトラックとなるヤクは高所での暮らしに大切な存在である
4000mを超えていくと馬は少なくなり、ヤクが増えてくる
ウチは1つ、野望があった
ヤクの太ももにある長い毛を、この手でさわりたい!というものだった
ガイドに頼んだが
「危ないですから、やめて下さい」と言われて、余計にさわりたくなってきた
でも、狭い山道ですれ違うとき、ヤクの上体が通りすぎるころに
偶然手が動くように差し出すことで、密かに念願の毛に触れることができた
それは背中の毛とは違って、やわらかいものだった
[おでこがハート型のヤク]
毛が短いのもいて、それはヤクでなく
牛とヤクとの交配種のゾッキョであるらしい
よーく見るとヤクよりも目がクリリンしていた
ヤクの目はつり上がっていて、鋭かった
[ボクサーみたいなゾッキョ]
森林限界を越えた村では、燃やす木がないが薪ストーブがある
燃料はコレであった
ヤクのフンを集めて乾燥させたものだった
乾燥させる方法は、それぞれの家によって違った
家の壁にくっつけて、豪快に乾燥させるところもあれば
石段にキレイにブロック状にして並べるところもあった
この作業もやはり子ども達がやっているのを見かけた
キャラクターが表れているのだ
もし自分だったら、どんな風に乾燥させようかな?
そんなヤクのフンではあるが
驚くほどによく燃えて、うちらの心身を暖めてくれた
荒涼とした山の中でこの火がどれほど、ありがたかったか
人だけでなく大きなヤカンで湯も同時にわかす
火で温めた湯は冷めにくく、このお湯で作られたジンジャーティーをすすって
飲みながら、ヤクのゆらゆらゆれる毛のことを思っていた